ごく一部の人にしか語っていなかった『もち肌温泉顔剃り』の誕生秘話についてお話しさせていただきます。
僕の人生を大きく変えた出来事と言っても過言ではないと思っています。
修行時代の僕は正直、出来の良い見習い生ではなかったと思います。人間関係に揉まれながらも、なんとか16歳の入店から7年、実家に帰えれた僕。
その頃、理容師から美容師へと華々しく転身した友人たちに「おまえは、一店舗の店でしか修行していないのだから俺のように街に出た人間よりも知識や経験がないのは仕方のない事だ」そんな風に一緒に呑む度に言われたものです。それがたまらなく嫌で仕方なかった。
その頃、父の体調もあまり良くなかったのですが、お客さんに「直人君が帰って来たからお父さん最近、元気になったね!」とその言葉で僕は救われたような気がしました。やっぱり僕は帰って来て良かったのだと。しかし、心のどこかで、もやもやの続く日々。他人と自分を比べ劣等感に縛られてしまう。そんな自分も嫌いでした。
そんなある日の夜、僕はこんな夢を見るんです。そこは、広々とした、どこかの温泉私設。僕がひねった蛇口から、ものすごい勢いで一気に溢れ出すお湯。僕はそのお湯でおもいっきり顔を洗います。夢の中で僕は「このお湯で顔、剃ったら気持ちえーやろなぁ!」と言っていました。そして大声で「温泉顔剃りやー!!」と叫んで目が覚めました。
いつの間にか朝になっていました。その日はすごく晴れ渡ったていて、それまで感じた事もない清々しさでした。そうです、嘘のような本当の話。夢をヒントに出来たお顔剃りなんです。
僕が作ったと言いましたが、授かり物だと言うのが本当のところです。僕はそう信じています。友人たちの知識や経験は本当に素晴らしいものです。でも、僕のこの体験も後々、多くの方と出会う事で素晴らしい経験に生まれ変わっていったのです。
それからでしょうか、僕は人と自分を比べる事をしなくなったと思います。僕には僕の与えられた大切な使命と言うものがある。そう僕にしか出来ない事。それに気付かされた時、人生の宝物となりました。『もち肌温泉顔剃り』を通してかけがえのない大切なお客さんとの出会いには感謝しかありません。
そして『もち肌』と言う言葉を何故つけたのか?それは床屋さんは本来、男女兼用私設であり女の人にも沢山、利用して欲しかったのと、このお顔剃りの特長が一番わかりやすく伝えるにはこれしかないと思ったからです。ネーミングは1秒くらいで決まりました(笑)ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
もし少しでも気になりましたらお気軽にお電話ください。たいした、おもてなしは出来ないですが、他愛もないお話しが好きな方や、のんびりしたい方、どうぞ散歩がてらに、遊びがてらにお立ち寄りくださいませ。
野尻直人